昨今の新型コロナウイルス感染症拡大により、多くの店舗や施設で自動精算機の導入が進んでいます。感染症予防だけでなく、業務効率の向上が目的で導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、自動精算機の導入にあたって気になるのが「耐用年数」です。結論からいうと、自動精算機・自動釣銭機の耐用年数は5年と定められています。
本記事では、自動精算機・自動釣銭機の耐用年数や、導入方法別の減価償却期間まで、わかりやすく解説しています。
自動精算機・自動釣銭機の耐用年数や減価償却について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
【はじめに】そもそも耐用年数・減価償却ってなんですか?
自動精算機の耐用年数について解説する前に、そもそも耐用年数・減価償却が何かわからない方もいらっしゃるでしょう。ここでは、耐用年数や減価償却、固定資産の概要について説明します。
法定耐用年数とは
法定耐用年数とは、法律で定められている「建物や設備などの使用可能な期間」のことです。資産の減価償却率を求める目的として定められています。
耐用年数は、使用開始日から効用喪失日までとし、この期間にわたって購入費用を分割計上していきます。
建物や設備などの使用可能な期間は法律で決められているため、個人が勝手に設定できません。国税庁の「耐用年数表」に従って、経費処理しなければならない点には注意しましょう。
出典:国税庁「耐用年数表」
固定資産とは
固定資産とは、企業が建物や設備などを1年以上の長期にわたって保有し、事業で使用するための資産のことです。流通や販売を目的にしていないのが特徴にあるでしょう。
固定資産は、下記の2つに分けられます。
- 有形固定資産:建物や土地、機械設備などの形があるもの
- 無形固定資産:ソフトウェアや特許権、借地権などの形のないもの
固定資産のほかに、「流動資産」と呼ばれる資産がありますが、自動精算機は固定資産です。自動精算機のような長期間にわたって使用する資産は、次に解説する減価償却の対象になります。
減価償却とは
減価償却とは、機器や設備などの長期間にわたって使用するものにおいて、経費を数年に分けて計上する仕組みのことです。
自動精算機をはじめ、さまざまな機器や設備は時間が経つにつれて劣化し、価値が下がっていきます。そのため、これらの費用を一度に計上せずに、耐用年数に応じて分割で計上していくという意味です。
減価償却には、下記の2種類あります。
- 定額法:毎期、一定額を費用として計上する方法
- 定率法:毎期、一定の率を算出する額を費用として計上する方法
基本的には、定額法は個人事業主、定率法が法人と覚えておきましょう。
自動精算機・自動釣銭機の耐用年数は何年?
自動精算機と自動釣銭機の耐用年数は、どちらもPOSレジと同じく5年と定められています。
ここで注意なのが、自動精算機と自動釣銭機の勘定科目が異なる点です。POSレジも自動精算機も支払い料金の情報が管理されるシステムのため、同じように思えます。
しかし、コインパーキングに設置されている自動精算機の例でいうと、勘定科目は「無人駐車管理装置」となります。そのため、POSレジとは同じ勘定科目ではないのです。
自動精算機とPOSレジは、耐用年数5年という点では同じですが、項目としては別なので注意しましょう。
POSレジの耐用年数については、以下の記事で詳しく解説しています。

自動精算機・自動釣銭機の耐用年数は導入方法によって変わる?
自動精算機・自動釣銭機の耐用年数は、導入方法によって変わります。自動精算機・自動釣銭機の主な導入は下記の3つです。
- 「購入」
- 「レンタル」
- 「リース」
ここでは、導入方法別の減価償却について解説します。
自動精算機・自動釣銭機の一括購入
自動精算機・自動釣銭機を利用者が一括購入し、それを所有物にします。購入した自動精算機などは固定資産になり、固定資産税や動産保険などの支払いが必要です。
一括購入する場合の最大の特徴は、初期費用が大きいことでしょう。自動精算機の相場は200万円〜450万円、自動釣銭機の相場は100万円〜150万円です。
さらに、オプション機能や周辺機器、外部システムとの連携などを含めると、高額な費用が必要になります。
保守費用で多少のランニングコストはかかりますが、購入後の費用がないのも特徴です。レンタルやリースと異なり、長く使用するほど総額の費用は割安になります。


自動精算機・自動釣銭機を購入した場合の減価償却
自動精算機・自動釣銭機は、耐用年数表の「事務機器、通信機器」に含まれ、その耐用年数は5年です。
一括購入した場合は、利用者の固定資産になるため、耐用年数に従って減価償却処理を行います。
例えば、飲食店が自動精算機を300万円で導入した場合、5年の5分割で約60万円を毎年経費に計上できます。そのため、耐用年数を過ぎて利用しても、減価償却はできません。
自動精算機・自動釣銭機のリース
自動精算機や自動釣銭機をリースで導入した場合、利用者はリース料をリース会社に支払って利用します。
メリットは初期費用が比較的安く済み、最新の機種を導入できる点です。しかし、途中解約ができないため、期間中に解約すると違約金が発生する点は、リースのデメリットといえるでしょう。
リースは長期の契約が基本になるので、審査がある場合が多く、導入までに時間がかかります。
自動精算機・自動釣銭機をリースした場合の減価償却
リース契約の場合は、リース取引の種類によって決まります。場合によっては、購入に準じた扱いとなり、利用者が減価償却することもあるでしょう。
その理由としてリース契約には、
- 所有権移転ファイナンス・リース取引
- 所有権移転外ファイナンス・リース取引
があり、それぞれで耐用年数が異なるからです。
所有権移転外ファイナンス・リース取引では、リースの契約期間が耐用年数になります。リース期間の終了で、耐用年数も満了になるのが特徴です。
一方、所有権移転外ファイナンス・リース取引は、固定資産と同様に減価償却を行います。
自動精算機・自動釣銭機のレンタル
レンタルの特徴は、比較的短期間の契約ができることです。リースとは異なり、審査がないケースが多く、中途解約も可能です。
初期費用も抑えられるので、導入時のリスクが低い方法といえるでしょう。ただし、現状は自動精算機のレンタルの事例はなく、自動釣銭機のレンタルのみになります。
一括購入やリースと比較して、ランニングコストが割高になる点はデメリットです。また、レンタルは取り扱いの機種に制限があり、多くの場合で中古になります。
自動釣銭機をレンタルした場合は固定資産にはならず、減価償却の対象になりません。

最後に|節税のために、耐用年数まで考慮した機器導入を
店舗、施設などにおいて、運営を長く続けるためには、設備投資資金の回収も視野に入れておきましょう。
例えば、開業当初に設備投資に費用をかけすぎると、資金不足になります。そのため、中古機器やリースなども利用すれば、買い替え時期をずらすことが可能です。
自動精算機や他の機器などの耐用年数をチェックし、減価償却が途切れないように機器を導入することが「節税」のポイントです。
まとめ
本記事では、自動精算機・自動釣銭機の耐用年数や、導入方法別の減価償却について解説してきました。
自動精算機・自動釣銭機の耐用年数は5年です。使用状況によっては、5年以上使える場合もあるでしょう。ただし、耐用年数を超えて利用しても、減価償却はできない点には注意が必要です。
自動精算機や自動釣銭機は、業務効率の向上や感染予防につながるなどのメリットがあります。
導入の際は購入・リース・レンタルの導入方法と、減価償却の耐用年数を確認しながら、自社に最適な方法を選びましょう。
おすすめの自動精算機について以下の記事で詳しく解説しています。導入を検討している方は是非チェックしてみてください。
